
自宅の窓ガラスに防犯フィルムを貼ろうと思っているのですが、色々と調べると「意味がいない」という情報を見かけました。

「意味がない」というのは少々大袈裟ですが、ガラスの防犯フィルム貼りにはあまり知られていないデメリットや注意点があります。
今回はこれまで4,000件以上の玄関ドアのリフォーム工事をしてきた”玄関ドアマイスター”が、窓の防犯フィルム貼りについてメリットとデメリット、効果的な防犯対策の方法について詳しく解説します。
防犯フィルムとは?
防犯フィルムとは、アクリル樹脂などを原料とした弾力性のあるガラス用フィルムで、窓ガラスに貼ると打撃を受けてもなかなか貫通せず穴が開きません。
警察庁の調べによると、戸建て住宅において空き巣や強盗が最も侵入口として選ぶのが「窓」であることが分かっていることから、防犯フィルム貼りは一定の防犯効果があるとされています。
特に防犯性の高い厚さ350μm(マイクロメートル)以上の分厚いフィルムは7回の打撃を受けても手が入るほどの穴は開かないという実験データもあるほどです。

防犯フィルムには市販されているDIY用の薄いものから、高い防犯性を発揮する分厚いものまであります。その中でもその防犯性が実験によって証明されているものが「CPマーク認定製品」です。
(引用:警察庁|住まいる防犯110番)
CP マークとは「防犯性能の高い建物部品」として認められた製品だけにつけられるマークで、防犯フィルムの場合は以下全ての耐久実験にクリアしていることが認定の条件です。
【CPマークの認定条件(防犯フィルム)】
①攻撃開始から1分以上、人の侵入を防げるか確認する「打ち破り試験」
②攻撃開始から5分以上、人が通過できる状態にならないか確認する「こじ破り試験」
③攻撃開始から5分以上、人が通過できる状態にならないか確認する「焼き破り試験」

CPマークが付いていない「防犯フィルム」と呼ばれる製品も売られていますが、その防犯性能にはかなり差があるので注意しましょう。
防犯フィルムのメリット
防犯フィルムのメリットは単に窓からの侵入をブロックできるだけではありません。
防災対策としても効果的
防犯フィルムをガラスに貼ると、地震や台風でガラスが割れても破片が飛散しにくくなり、速やかに避難できたり怪我などの二次災害を防げたりします。
そのため、防犯フィルムの中には「飛散防止」の効果をうたうものも少なくありません。
UVカット・遮熱効果をプラス
防犯フィルムの中には、UV(紫外線)を99%カットできるものや、太陽光の熱を遮断できるタイプもあります。
これらは、日当たりのいい窓に施工すると家具などの日焼けや夏の暑さを抑えられますが、透明度が低いものも多いため選定の際には注意が必要です。
DIYで施工できる
防犯フィルム貼りの工程には大掛かりな工具は必要なく、作業もそれほど複雑ではありません。
①窓周りが汚れないように養生でカバーする
②ガラス面のサイズに合わせてフィルムをカットする
③ガラス表面を徹底的にきれいにする
④専用液をガラスに吹きかける
⑤専用液が乾かないうちにフィルムを貼る
⑥ガラス面とフィルムの間に入った空気をヘラで外に押し出す
⑦水分が完全に乾燥したら防犯効果が現れる
失敗してもガラスなどにキズが付かず接着剤も水溶性なので、賃貸物件などにも採用できることから、比較的どなたでもチャレンジしやすい防犯リフォームとして広く認知されています。
コストが安い
防犯フィルム貼りは、ガラスや窓サッシを防犯性の高い仕様に取り替えるよりも金額を抑えられます。
【費用目安(一般的な腰窓サイズの場合)】
防犯フィルム貼り:25,000〜30,000円/ヶ所
安全合わせガラスへの交換:30,000〜40,000円/ヶ所
二重窓(内窓)の設置:7〜15万円程度/ヶ所
窓サッシの交換:20万円程度/ヶ所

他の方法よりもリーズナブルな防犯フィルム貼りですが、コストを抑えるためにフィルム貼りを選ぶ際は注意しましょう。防犯フィルムは価格が高いものほど分厚くて防犯性に優れているのが基本です。ただし、分厚いフィルムやCPマーク付きフィルムは専門業者に貼ってもらう必要があります。
防犯フィルムのデメリット
防犯フィルムは比較的リーズナブルで手軽な窓リフォームですが、実は「意味ない」と言われることは少なくありません。
その理由は防犯フィルムのデメリットにあります。
貼った直後は防犯効果が低い
防犯フィルムは専用液をガラスに吹きかけてガラスに貼り付けますが、その液体が完全に乾燥しない間は密着性が低く100%の防犯効果を発揮できません。
気温の高い夏でも完全に乾燥するまでには1ヶ月、冬には3ヶ月くらいかかる可能性もあるので注意しましょう。
DIYの施工は難しくて耐久性が低い
ガラスフィルム貼りはヘラとスプレーがあれば手軽にできますが、きれいに正しく施工するにはコツが必要です。
ガラスとフィルムの間に入った空気が少しでも残ると、膨れの原因になり、短期間で剥がれてしまいます。
また、フィルムの端部をきちんと処理しないと、結露の水やホコリが入って密着性が損なわれるケースは珍しくありません。
「部分貼り」は防犯効果なし
最近は100円ショップやホームセンター、オンラインストアで、クレセント(窓サッシの鍵)の周りにだけ貼る小さなフィルムも売っています。
簡単に貼れるのでもしかしたら既にご自宅の窓に貼っている方がいるかもしれません。
ところが、部分貼りしたフィルムは剥がれやすい上に、フィルムが貼ってない部分のガラスを破られては全く意味がありません。
フィルムを貼れないガラスがある
外から室内を見えにくくするために採用される型板ガラスや、ガラスが大きく割れるのを防ぐ網入りガラスには、防犯フィルムを貼れない可能性があります。
表面が凸凹している型板ガラスは、施工できるフィルムが限定され、剥がれやすかったり剥がした後に接着剤が残りやすかったりするので注意しましょう。
網入りガラスは、遮熱効果のあるフィルムを貼ると、熱がこもってワイヤーが膨張し、熱割れが起こる可能性があります。
透明度の高い防犯フィルムは熱割れしにくいという情報もありますが、サッシメーカーによってはどんなガラスにもフィルム貼りを推奨しないところもあるので注意が必要です。
参考:LIXIL|Q&A|窓や玄関のガラスにフィルムシートを貼っても良いですか?
CPマーク付きフィルムは施工条件がある
CPマークの認定を受けている防犯フィルムには、いくつもの施工条件が決められてます。
・単板ガラスは5ミリ以上の厚さであること
・複層ガラスは特定製品を除いてフィルムを貼る側のガラスが5ミリ以上の厚さであること
・ガラス部分の全面にもれなくフィルムを貼ること
・開閉できる窓はクレセントがサブロック付きもしくは補助錠付きであること
・建築フィルム1級もしくは2級(※)を取得した人が施工すること
※建築フィルム1級もしくは2級:ガラス用フィルム施工職種技能検定の有資格者

CPマークによって保証される防犯性能を確実に得るためには、ガラスの条件に加えてプロが施工しなくてはいけません。
耐用年数が短い
ガラスフィルムは厚さを問わず、大体10年前後で端から剥がれてくるなどの劣化が起こり、寿命を迎えます。
そのため、窓の防犯性を維持するためには定期的に張り替えなくてはいけないのです。
ちなみに、防犯性が元から備わっている安全合わせガラスなどは20年から30年の間、交換する必要はありません。

防犯フィルムは耐用年数が短いため、1回あたりの工事費用を抑えられるものの、長期的に考えると他の方法と比べてあまりお得ではない可能性があります。
フィルム工事では補助金・税控除の対象外
窓リフォームを対象とした補助金制度や税控除制度はいくつかありますが、どれもフィルム貼りの工事は対象になりません。

窓の防犯リフォームで補助金や税控除の制度を利用するためには、防犯性に加えて断熱性アップも必要です。2025年は全国対象の「先進的窓リノベ2025事業」と、東京の方限定の「既存住宅における省エネ改修促進事業」が実施されます。
窓の防犯対策はフィルムだけじゃ不十分
ここまでの話をまとめると、「窓ガラスへの防犯フィルム貼りは意味がない訳ではないけど、効果はイマイチ」ということになります。
窓の防犯リフォームは、フィルム貼りに加えて「安全合わせガラスに交換する方法」と「二重窓にする方法」、「窓ごと交換する方法」があるので、それぞれメリットとデメリットを比較してみましょう。
メリット
【防犯フィルムを貼るメリット】
・手軽にできる
・他の方法よりコストがかからない
・DIYで挑戦しやすい
【安全合わせガラスへ交換するメリット】
・防犯フィルムよりも耐用年数が長い
・補助金の対象になる
【二重窓(内窓)を設置するメリット】
・窓の交換よりコストがかからない
・室内側の窓の見た目がきれいになる
・補助金の対象になる
【窓サッシごと交換するメリット】
・フィルムよりも耐用年数が長い
・サッシ枠とガラス両方からの結露を防げる
・窓辺の寒さや暑さを軽減できる
・クレセントも最新のものになるため防犯性が高まる
・窓の見た目がきれいになる
・建て付け不良や鍵のかかりにくさも解消できる
・引き違いから滑り出しなど、開け閉めの方法を変えられる
・補助金の対象になる

既存住宅の窓サッシ交換は、窓周りの壁や床を壊さない「カバー工法」が主流です。カバー工法は解体工事や内装工事が必要なく、1ヶ所あたり数時間で窓交換が完了します。
デメリット
【防犯フィルムを貼るデメリット】
・耐用年数が短く、定期的な張り替えが必要
・選ぶフィルムによって防犯効果にかなり差がある
【安全合わせガラスへ交換するデメリット】
・サッシの建て付け不良や鍵のかかりにくさは解消されない
【二重窓(内窓)を設置するデメリット】
・窓の開閉や掃除が二度手間になる
・室内側から窓を見た時に圧迫感が出る場合がある
・外窓が古いと内窓を付けてもあまり防犯性アップにならない
【窓サッシごと交換するデメリット】
・フィルム貼りやガラス交換、二重窓よりコストがかかる

窓サッシごと(外窓)の交換は、他の方法よりも費用がかかりますが、防犯性に加えて省エネ性も高まるため、光熱費削減につながります。また、不防犯フィルムよりも耐用年数が3〜4倍長い点もポイントです。
ずっと住み続ける家では一時的なコストだけではなくて、中長期的なコストも踏まえて工事方法を決めましょう。
【毎日更新中】「玄関ドアマイスター」の施工事例はこちらから▶︎▶︎▶︎
まとめ
樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシのどちらにするか迷ったら、それぞれのメリットとデメリットを比較して、お住まいのある地域に合わせて最適な窓を選びましょう。
2025年は「先進的窓リノベ事業」や東京都の「既存住宅における省エネ改修促進事業」など断熱窓に関連するお得な補助金が実施されるので、窓リフォームを検討している人にとっては大チャンスです!
過去の動画では補助金について詳しく解説していますので、ぜひチェックしてください。
私たち「玄関ドアマイスター」は、昭和5年の創業以来建具一筋!窓・玄関ドアリフォームの施工件数全国1位をこれまで何度も獲得している直販会社です。どこにも負けない明瞭価格に、高品質な施工と対応、安心のアフターサービスの3点が揃っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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工事は下請け会社に任せず、全て自社で行うことにこだわり、工事品質を高めてきました。
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